7月の3連休。
例年、我々西濃サッカー関係者にとってこの3連休は一年で最も忙しい休日だと認知されている、気がする。少なくとも我らレスタースタッフはそう思っている。
毎年、5年生のガステック杯、6年生のフジパンカップクラブ大会、ジュニアユースのリーグ戦が丸被りするのだ。
スタッフの稼働率、派遣審判の確保には毎度毎度苦労するが。
一番の難題は、やはりこのガステック杯だろう。
6年生のフジパンカップと被ってしまうため、毎年6年生の方に上がっている5年主力メンバーを欠いて本大会に臨まないといけない。
去年は6年に上がった5年生がいなかったのか? 運よくフジパンカップと被っていなかったのか? は覚えていないが、フルメンバーでガステック杯に臨み優勝したと記憶しているが。
二年前までは毎度毎度主力メンバーを欠いた状態で、大会を勝ち進むのに苦労した覚えがある。
今年も、ガステック二次予選とフジパンカップが被ってしまったため、初日は主力メンバーを欠いて大会に臨むことになった。
が、いい意味で予想外だった。
主力メンバー抜きでもここまで苦労しなかったガステック杯があっただろうか?
二次予選三試合の結果は……。
13対0〇
14対0〇
8対0〇
主力メンバーを欠いても、変わらぬ攻撃力、落ちない守備力。
素晴らしい結果だ。
続けて、主力メンバーも加わって、万全の体制で臨んだ決勝トーナメント。
トントン拍子で勝ち上がり、優勝を果たした。
が、最も特記すべきことはベスト8~決勝まで、メンバー登録された総勢13名のすべての選手が多くの時間出場し、さらにベスト4での試合を除き、メンバーが入れ替わっても攻守ともにチームとして変わらぬクオリティーを発揮し続けていたことだろう。
誰が出てもチームのクオリティーを落とさず、誰が出てもチームとしての強さを発揮できる。
その中で、俺の方ができる、俺の方がいいプレーができると切磋琢磨する。
まさにチームとしての理想像である。
が、まだもう少しだけ頑張る必要はある。ベスト4での試合を除き、というのがいただけない。
課題もたくさんある。
一つは、フェアプレー。気持ちを持ってプレーするのは素晴らしいことだが、審判の判定に対して影響を与える言葉を言うべきではない。
もちろん、際どい判定の時には自分たちのボールだと主張することは悪くないが、明らかに相手ボールなのに、明らかにマイボールなのに、すべての局面で「マイボール!」と叫ぶのは頭が働いていない証拠だ。言えばいいという問題ではない。
プレー面では。
今回、決勝トーナメントではそれぞれまったく違ったタイプのチームと対戦した。
それぞれの相手に、ボールを持った時、どれだけ相手DFを見ることができたか。それに伴った判断をどれだけ下せることができたか。
守備の面で、どれだけ予測ができたか。どれだけ球際で激しく行けたか。自分の中に確かな強さを持って相手に正当なチャージで当たることができたか。
それぞれにまだまだ課題はあるだろう。
誰が出てもクオリティーが落ちないというのはとてもいいことだが、それは反面、絶対的な存在、スペシャルな選手がいないということでもある。
海外のチームを見ればわかる。王者になるチームというのは、必ずそこに絶対的な選手がいるものだ。
メッシ(バルサ、リーガエスパニョーラ優勝)。ムバッペ(フランス、W杯優勝、パリ、リーグアン優勝)。ファンダイク(リヴァプール、CL優勝)。アグエロ(マンC、プレミアリーグ優勝)。Cロナウド(ユベントス、セリエA優勝)。
そんな存在がいないチームは、結局強豪止まりで、王者にはなれない。
Cロナウドが抜けたレアルマドリードがいい例だ。絶対的な勝者が抜けた王者は昨季、不甲斐ない成績で終わってしまった。
逆に、絶対的な選手がいるだけでは勝てないのもまた事実。頼もしい仲間が11人いなければ勝てない。メッシのアルゼンチンがいい例だ。
頼もしい仲間はそろっている。
あとはその中から、俺が絶対的な選手だと、そう叫ぶ選手が、そう主張するにふさわしい選手が現れるだけだ。
さぁ、誰がそんな選手になる?
この選手同士が拮抗した状況で、頭一つ、いや、二つ三つ飛び越えて、スペシャルな選手に進化する選手は一体誰だ。
特別になりたいと、そう叫んで、そうなろうと必死にもがく選手が現れることを期待する。
そうやって、誰もが特別になろうとあがいて競争していれば、きっとこのチームは王者になれる。
誰が特別になるのか、楽しみだ。
さて、そんな君たちに、成長するための秘訣を一つ、教えよう。
それは、振り返らないことだ。
過去の栄光にすがり、過去の成功に慢心し、自分はすごいと、自分たちは強いと、そうやって立ち止まって後ろを振り返っていれば、そこで成長は止まる。
そうしているうちに、俺たちの背中を見ているライバルに抜かれてしまうのだ。
だから、常に目の前のやるべきことを、課題を見て、ただひたすら歩いていかなければ。
次なる成功のために、過去の成功は忘れるに限る。
明日になれば今日は過去になってしまう。
――だから。
今日限り、優勝の余韻に浸ることを許そう。
5年以下は一部の選手を除き、低学年から我がチームで頑張ってきた選手が多い。結果が出ないつらい時期もあったが……。
頼もしい仲間も加わり、一人一人が着実に力をつけてきていると分かった、素晴らしい大会だった。
チーム全員で掴み取った栄光だ。
また優勝しよう!