成長あるのみ

 

 フジパンカップが幕を閉じた。

 

 レスターはベスト4で散ってしまった。

 

 が、しかし。西濃大会を除き、この学年がベスト4まで残ったのは地味に初めてなんだなと、ふと気が付いた。

 かと言って、順調に成長しているとか、着実に力をつけているとか、そんな綺麗ごとを言うつもりはないけれど。

 

 誰でも知っているあの超有名ストライカー。ズラタン・イブラヒモビッチは言った。

「2位は最下位と一緒だ」

 まぁ、なんなら2位にもなっていないが……。

ようは心の問題である。

イブラヒモビッチの自伝を読んだが、あんなメンタルをしてたら、そりゃ本番に強いし、点も決めるし、強くもなる。あれくらいの強い気持ちを持ってほしいものだ。いや、あそこまでいくとちょっと面倒だからやっぱやめて。

 

 君たちは育成年代だ。だから、勝敗よりも大切なことも必ずあるし、どちらかというとそれこそが重要なまである。

 けれど、目の前の勝利に貪欲になれない選手が、目先の結果に執着できない者が、どうやって未来で栄光を掴むことができるのだろうか。

 

 昔どうだったか、なんて関係ない。

 

 未来がどうかなんてこともとりあえずどうでもいい。

 

今、どうであるか、だ。

 

常に今に執着し、今を勝とうとしていれば、きっと常に勝つことができるだろう。

 

 

さて、今大会、つまり今に執着していた選手がどれだけいただろうか。

 

 一人、両足をつってまで走りきった選手がいた。足をつるまでやった選手を、私は久しぶりに見た気がする。

彼には今回、大きな期待と負担を背負わせてしまう役割を担ってもらった。

 決勝トーナメントで得点こそ決めることはできなかったが、その体でこちらの願いに応えようとする姿を見せてくれた。そこに関しては評価に値する。

 チームの核を担う役割を任せるに値する存在なのだと、感じさせてくれた。

 そんな「今」があるからこそ、彼には今大会、大器の片鱗を見た。

 全日本少年サッカー大会の県大会までに、世界に通用するFWになってもらおうと思う。夏休み、覚悟してもらおう。

 

 もう一人。キーパーに関しては、今大会では正キーパーっぽい働きを見せてくれた。最近正キーパーポジションを争うライバルがいるからだろうか、尻に火がついている感がある。

 が、しかし。もう一人のキーパーもガステック杯で素晴らしいパフォーマンスを見せていた。今後も正キーパー争いは続きそうである。

 

 さて、他の選手はどれだけ「今」に執着することができただろうか?

 

 チームとしては、二次予選で浮き彫りになった守備の弱さの部分に多少の改善が見られたのがよかったところだろう。

 ただ、戦い方も含め、たった二週間鍛えあげたもので、付け焼き刃感は否めなかった。

 40分間、頭と体を動かし続けることができない。頭と体、両方のスタミナ強化が必要だろう。今までどれだけサボってきたかがはっきりしたというふうにも捉えることができるが……。

 

 まぁでも、ものは考えよう。

 

 二週間で多少の改善が見られた「今」があるのなら、全日本少年サッカー大会の県大会まで残された時間は約4カ月。

大きく成長するチャンスは十分にある。

 付け焼き刃感が否めなかったが、それでも走れている時間帯は相手を圧倒することができていた。

 ポテンシャルはある。それがわかっただけでも、十分な収穫だ。

 

あとはその持続時間を延ばすのと、今以上に強度を上げること。

守備の部分の予測、予測に基づいた前準備つまりポジショニング、そして何より俺がボールを奪いに行くという強い意識。

 

 課題の部分で言えばもう一つ。攻撃においての個の強化だろう。ミドルシュートの脅威、個人での打開成功率。これらのレベルを引き上げる必要性を感じた。

 

 チームとしては大きく二つの課題を挙げたが。

 

 個人個人では、それぞれ自らの課題があるだろう。今大会でも浮き彫りになった課題があるはずだ。

 ここで一人一人事細かに書いてもいいが……。まぁ書くと長くなりそうなのでやめておく。

 

そこに関しては常日頃言っているつもりだし、これからも言い続けるだろうし、分からなかったら、またはもっと詳しく知りたかったら、聞いてくるといい。1時間でも2時間でも、なんなら一日中でも話し続けてやるから。

周知のとおり、私は話すことが好きなのだ。

 

 さてさて、チームとしても個人としてもたくさんの課題を克服しなければいけないが。

 

 おあつらえ向きのイベントがもう間近に迫っている。

 

 

夏休みだ。

 

 

 強豪との対戦。遠征。成長できるチャンスが目白押し。

 

 6年生の夏休みは、その過ごし方でチームとして大きな成長を遂げることができる。夏休み前と後では、まるで別チームのように変化するチームだってある。

 

 夏休みというのは、それだけ重要な期間なのだ。

 約一カ月半も自由な時間が与えられるんだ。それだけの時間があれば、できることはたくさんある。

 

 チームとしての指針も見えている。

 

 できるようにしなければいけないことも明白だ。

 

 だから、成長あるのみ。

 

 もうすぐ始まる夏休みが、楽しみだ。

 

 

 

まぁでも、チームとしても、個人としても、たくさんの課題がある我がチームだが、結局のところ、選手たちが夏休み開幕一日目にやる課題は決まっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みの宿題は、最初の一日目で終わらせておけよ。