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久方ぶりの負け。

 

 

 

 久方ぶりに負けた。

 

 5年生。

 この学年が黒星をもらったのは久しぶりだ。練習試合でも、公式戦でも、カップ戦でも、久しくなかったことだ。

 一生勝ち続けることなんてできない。勝負事に負けはつきもので、いつかは負ける。それが今回だったというだけのこと。連勝なんて、いつかは途絶えてしまうのだ。

 

 負けすぎるのは良くない。成長していない証拠だから。

 

 けれど、久しぶりに負けるのは悪くない。

 自分たちの立ち位置を知ることができる。伸びきった鼻をへし折ってくれる。課題をまざまざと突きつけてくれる。

 そして、それが心に残ることになる。

 

 課題があっても、勝ってしまえば課題への意識はきっと薄れてしまうだろう。慢心という感情が邪魔をするのだ。

 けれど、負けたとなると話は別だ。

 次は勝とうと奮起して、その課題にひた向きに取り組むことができる。

 

 負けたのが夏休みの始まりとは運がいい。この夏休み、その課題にしっかりと取り組むことができる。

 

 まずは、守備面。これに関しては、選手には伝えた。まぁ、負けた試合を見てればはっきりとわかるものだった。たくさんの人が見ることができるブログでうちの弱点をわざわざ公開する必要はあるまい。

 

 問題は、攻撃面だ。

 

 サッカーの試合では様々な問題に直面する。

 点が決められない。相手を抜けない。ペナルティエリア、バイタルエリアに入れない。ボールを保持できない。

 

 それらの問題を解決するためには、頭を使わなければいけない。頭を動かさなければいけない。

 きっと誰もがそう言う。確かにそうだ。私だってそう言う。

 

 しかし、選手たちにはそれ以前のことが足りていなかった。

 

 見ることだ。

 

 どれだけ賢い頭を持っていても、問題が見えなければそれを解くことはできない。

 いつも百点満点を取るたかし君でも、目隠し状態でテストを受けたらいい点数なんて取れるわけがない。たかし君って誰だ……。

 

 そう、選手たちは目隠し状態と言っても過言ではないくらいに、なにも見ずにサッカーをしていたのだ。

だから、点が取れない。チャンスを作れない。相手に困難を与えることができなかった。

 

 相手の守備は何を狙っていたか? どんな立ち位置だったか? どこを消していたか? スペースはどこにあったか?

それらを見ることをせず、ただボールを蹴っていただけだ。

 

敵が出題してきた問題を見ていなければ、問題を解決できるわけがない。

だから点が取れないという問題を解くことができなかったし、チャンスが作れないという問題の正解を導き出すことができなかった。

 

失点してからは、その現象がよりはっきりと見えた。

最近ずっと負けることなく、いつも先制し、常に主導権を握って試合をしていたからだろうか。

逆に先制されると、慌てふためいて、敵を見ず、スペースも見ず、味方すら見ようともしないで、ただただボールを前に蹴るだけ。そして、それが原因で二失点目を食らう。

 

まずは、見ること。そして次に、考えること。それが選手たちの課題だろう。

 

 

ボールを持っている選手だけではなく、参加している全員が見なければいけない。

サッカーは、チームスポーツなのだ。

チームとして、相手が出題している問題を解かなければいけない。

ボールを受ける位置はどこが一番最適なのか? どう攻めるのが一番効果的なのか?

一人一人が見て、考えて、行動に移さなければ。

 

 

模範解答は常にこちらで出している。練習や、練習試合で。

それを参考にしてくれればいいが。

 

けれど結局、模範解答でしかない。

 

回答者は選手自身なのだ。


常に自分で、見て、考えて、自分で導き出した答えを。

グラウンドで出してくれ。

 

それが、監督やコーチにはできない。

主役である選手の、特権なのだから。