夏休みを経て、チームは大きく変化することがある。
まるで別チームであるかのように、夏休み前後では大きく成長するのだ。
と、フジパン敗退後のブログで綴った。
ただ、全チームがそれに該当するわけではない。
変化を必要とし、変化するために必要なものを模索し、そして変化しようと必死にもがいてあがいた者だけが、大きな成長を遂げるのだ。
必要とするのは簡単だ。誰だってできるし、誰でもやっている。
もっとうまくなりたい。足が速くなりたい。背を大きくしたい。
新しいボールが欲しい。スパイクが欲しい。お金が欲しい。
誰もが常々思っていることである。
ただ、多くの者が願っているだけで、必要としているだけで、その次を行うことができない。
もっとうまくなりたいなら、練習法を考えなければ。
足が速くなりたいなら、フォームを見直さなければ。
背を大きくしたいなら、たくさん食べて、たくさん動いて、たくさん寝なければ。
新しいボールが欲しいなら、スパイクが欲しいなら、母ちゃんにゴマをすらなければ。
お金が欲しいなら、母ちゃんの手伝いをして、やっぱりゴマをすらなければ。
そうやって、必要なものを手に入れる方法を考え出さなければいけない。
母ちゃんへのゴマすりは置いておいて、サッカーの部分では、その方法を考え出すのは我々指導者の役目である。
だからこの夏休みも、練習メニューを組んだり、強豪チームが出揃う大会に参加したりした。
あとは、選手たちが変化しようと必死にもがくだけ。
夏休みで大きく成長するかどうかは、そこにかかっていた。
先日ウジョンカップに参加した。
108チームが参加する、国内最大級のカップ戦だ。
試合結果は、試合数が多かったので省略させていただく。気になる方は、我がチームの公式Twitterへ! フォローもよろしくです。
最終的な順位は、108チーム中24位だった。
うーん。リアクションに困る順位である。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
もちろん上の順位を目指して参加したが、問題はこの大会を通して、そして夏休みを通して、我々が成長できたかどうかが確認できたか、である。
さすが108チーム参加しているだけあって、いろんなことを知ることができた。
運が良かったのか悪かったか、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸など、名だたるJリーグの下部組織チームとは組み合わせ上対戦することができなかったが、関東、関西、韓国と、津々浦々のチームと対戦することができた。
簡単な試合などほとんどなかった。
そんな中で、成長しようとしていた者、成長した者がどれだけいるか。そして、チームが大きく成長したか、しているかどうか、を振り返ってみる。
夏休み前のフジパンカップと比較して考えてみた。
まるで無味無臭、無色透明、とでも言えるくらい、あの頃の我々は未熟で、未完成だった。
けれど、今はチームの色が濃く出るようになったと思う。
どのチームと戦ってもそれを出すことができるようになったと言うことは、チームとしての共通理解が増したということだろう。
だが、成熟したか、完成したか、と言うと、残念ながらそうではない。
フジパン終了後のブログで書いたチームとしての課題は大きく二つだった。
一つは、守備の強度の向上と、持続時間。
まずは、強度の部分。
これに関しては、まぁ成長はしているだろうが、それ以上に、ウジョンカップでの試合を通じて、まだまだだということを見せつけられた。
どのチームも、岐阜では体験できないくらい、球際の部分が強かった。
5分5のボールは絶対に自分のボールをしてやるという気持ちがこちらよりもすごい。
だから彼らは、名だたる強豪がひしめき合う埼玉や大阪などのチームは、どこも強いのだろう。
どこと練習試合をやろうとも、リーグ戦をやろうとも、自チームで練習をしても、相手は死に物狂いでボールを奪いに来る。
だからオフェンス側も神経を研ぎ澄ませてないとすぐにボールを奪われてしまう。
そんな環境でやっているからこそ、うまくなれる。
見習うべきだと、そう思った。
単純な球際の強さ。うちはまだまだだと知っていたが、思っていた以上にまだまだなのだと、思い知らされた。
それは、やっていた選手が一番そう思っているだろう。
そう思っていると、思いたい。
自チームの練習から、そこの部分に関しては今まで以上に突き詰めていくべきだろう。
次に、持続時間に関して。常にボールがどこに行くかを予測し、そこに走るという、頭と体のスタミナが伸びたかどうか。
これは、選手それぞれに個人差がある。
前線の選手に関してはもっと頑張ってほしいと言わざるを得ない。
守備のスタートは前線の選手だ。彼らの守備の出来で、我々がピンチに陥るか、それともチャンスにつなげることができるかが決まってくる。
にもかかわらず、自分の狙うべきインターセプトを狙っていないことが多々ある。
自分がプレッシャーに行くべき選手にアプローチをかけることができないシーンが何度もある。
ボールが移動しているにもかかわらず、ポジションを変えていないことが多すぎる。
予測できていない。頭を止めている証拠だ。
結果、自分の狙いどころに遅れて出ることになり、ボールを奪えない。そして、ボールを自陣に運ばれてしまう。
バックラインに関しては、総じて多少の成長が見られた。
一番伸びたのは、一番後ろに構える#4だろう。まだまだ足りないところがあるが、予測の部分に関しては大きく成長を遂げたと言える。
先ほどの守備の強度の話に通ずるものがあるが、相手に問題を与える守備を常日ごろ経験していれば、攻撃部分の成長は加速する。
チーム練習から、その部分をさらに磨いてほしい。
もう一つの課題は、攻撃においての個のレベルアップだ。
ある選手には世界に通用するFWに、と綴った。
それに近づいてはいる。
だが、それになるためにはまだ課題が多くある。まぁ、自覚はありまくっているはずなので、ここで書く必要もないだろう。
その課題を克服すれば、君が茂野吾郎的存在になるのも夢ではなくなるはずだ。
あの「どれだけ負けていてもなんとかしてくれる」というオーラと自信と能力がそろった選手に、なってくれれば、どれだけ頼もしいだろうか。
めちゃくちゃ頼もしいと思うので、課題克服に励んでくれ。こちらも最善を尽くそう。
まぁそんな感じで、個人差はあるが、個の攻撃に関しての能力は多少上がったようには思えるが、正直物足りない部分が多い。
なぜなら、大阪では、上には上がいることを再確認させられたから。
個のレベルアップ関しても守備面同様、今後も取り組んでいくべきだろう。
以下、謝辞。
主催のウジョン実行委員会様、対戦していただいたチームの皆様、ありがとうございました。たくさんのことを学ばせていただきました。
そして保護者の皆様。保護者の方々のご協力なくしては成立しなかった遠征でした。二日間本当にありがとうございました。
大阪遠征を通じて、そして夏休みを通じて、成長したかどうか。
その答えとしては……。
ここででかでかと「成長できた」という文字を並べることはできない。
成長はしていると思うが、胸を張ってそう言えるのは、まだ先だ。
大阪で知り得たことが、多すぎたのだ。
本当に、思っていた以上に、いろいろな事実を大阪で学ぶことができた。
たくさんのことを知った。
けれど、知識を蓄えただけでは成長とは言えない。
それを自分の力に還元できたことで、初めて成長したと言えるのだ。
その知識を糧として成長するには、まだ少しだけ時間が必要だ。
だが、時間は限られている。
9月には全日のリーグ戦が再開する。
11月には県大会が終わってしまう。
冒頭で書いた文章をもう一度綴ろう。
変化を必要とし、変化するために必要なものを模索し、そして変化しようと必死にもがいてあがいた者だけが、大きな成長を遂げる。
選手諸君。
これからも。
必死にもがいて、あがいてくれ。