U10の県大会が幕を閉じた。
結果から振り返ってみる。
準々決勝 8-1
準決勝 2-0
決勝 4-0
優勝したね。
おめでとう。
結果だけ見れば危なげなく、と見えるかもしれない。
しかし、そんなことはまったくなかった。
順当でもないし、簡単でもなかった。
ここまで楽なことなんて、何一つなかった。
今回対戦した3チームのうち2チームは過去に負けてしまったことがあるチームだ。
ひとチームは今年の4月の招待試合で(1-3●)
ひとチームは去年のU9チャンピオンズ大会決勝で(2-2PK●)
クラブカップの方では去年のチャンネル杯で1-4という大差で負け、チャンピオンズ大会にて1-1で引き分けたチームとも戦い、見事今回は3-0で勝利できた。
今回はリベンジマッチが多くあった。
我々は、もともと強くなんてなかったのだ。
選手構成は去年とほぼ変わっていない。
変わったのは、選手それぞれの質だ。
足りないことを模索し、改善し、成長し、今がある。
もちろん各自で自主練をしている者は多くいるだろうが、途方もない練習量をチームでこなしたわけではない。週2回のナイター練習に、休日に練習試合を半日、または練習を2時間程度。
ただ、密度と強度にはこだわり続けた。
量ではなく、質に意識を向け続けた。
それは量をこなすよりも難しいことだ。
やっているだけなんて誰でもできる。
問題は、どうやるか、なのだ。
その過程があったからこそ、今があるのだろう。
昨年に比べ、選手たちは大きく成長した。
特に3バックを形成していた3年生の3人。
今大会の失点の少なさは彼らの成長によるところが大きい。
数々の強力な選手に対してアグレッシブに対応することができ、相手のチャンスの芽を摘んでいた。
#5は身体能力で上回る相手に対してもしつこく対応できていた。
それは#4にも言える。球際では質の高いアプローチをかけることで足の速い相手を防いでいた。決勝では怪我で交代したセンターハーフの選手に変わって3年生ながらシステムのど真ん中を担い、その役割を果たしてくれた。
#16は絶妙なタイミングでプレッシャーをかけることができ、インターセプトやトラップ際でボールを奪うことができていた。ボール奪取率が素晴らしく、攻撃を始めるきっかけをたくさん作ってくれた。彼のチャレンジがあったおかげで、#10が楽にプレーすることができたのだ。
成長という観点で見れば、4年生の#11もまだまだ荒削りではあるが、昨年に比べれば大きく変わっている。攻撃面で相手に脅威を与えるほどに成長を遂げたのだから。
全体的な面を見れば、チームとしてはクラブカップに比べ、落ち着きを持って、楽しくプレーできていたように思う。
特に#10は、クラブカップの時より顔が生きていたように思える。引き続き、メンタル的な面で強くなってもらいたい。
ただ、チームとして、準決勝だけは納得できないプレーが多かった。
前半再三訪れたチャンスをことごとく決めきれなかったからだろうか。
それでも前半終盤で一得点できたにもかかわらず、後半は焦りに焦って狙いのないプレーが多かった。
だから、後半は相手の時間の方が長かったように思う。
前半で多数の決定機を決めきれないことを危機的状態と感じたのか、一点差に焦りを覚えたのか、自陣でのボール奪取時、後ろで奪われたくないがためにボールを蹴っただけ、と思えるようなプレーが多発していた。
それだけは、やってはならない。
前線の選手の動き出しを見て、相手の背中を狙う、というものであればその選択は良いと思うが。
攻撃することを、プレーすることを、我々は放棄してはならないのだ。
ボールを奪われることを恐れ、自分が持っているボールを捨て、自分たちが上手くなる機会を、チャンスを、自らなくして、我々は一体いつ上手くなれるというのだろうか。
焦ってもいいことなんてない。悪循環だ。
だいじょうぶだから。できるから。そう思っていれば、絶対にうまくなれるし、いいプレーもできる
それが決勝戦で証明された。
怪我で攻撃の一角を担っていた一人が前半1分で交代し、さらに前半を0-0で折り返したにもかかわらず、後半も落ち着いて、頭も止めず、狙いを持って、いいプレーができていた。
だからこそ後半で4-0という結果を出せたのだと思う。
決勝でそれができたという部分を見ると、クラブカップより少しは成長したのかな、というように思う。
優勝という、素晴らしい結果を残せたのだ。
さて、そうやって今大会の幕が閉じたわけだが。
しかし、まだゴールしたわけではない。
先がある。
東海大会という先ができた。
……いや、先ができたという言葉はおかしいな。
勝っても負けても、先はある。
私が指導者の道に足を踏み入れてから5年間。
4年生の時点で岐阜県のトップになったチームが、2年後の全日本少年サッカー大会岐阜県大会で優勝したチームは、一つもない。
何が言いたいかと言うと、結局ここはただの通過点でしかないというわけだ。
そしてその6年生という年代もまた、サッカー人生の、私たちの人生の、通過点にすぎない。
先がなくなる時は、人生の終わりが訪れた時だけだ。
だから我々は、チャレンジをし続け、そして、成長し続けなければいけない。
ラッキーなことに、その時間が、機会が、環境が、あるのだから。
私たちには、君たちには、これからたくさんの時間がある。東海大会という成長の場がある。練習や試合の送り迎えや、応援に駆けつけてくれる人たちがいる。
そのすべてに感謝して、また成長していこう。
以下、謝辞。
対戦していただいたチームの皆様、ありがとうございました。今後ともお付き合いいただけますよう、よろしくお願いします。
大会の運営をしてくださった岐阜県サッカー協会の皆様、後援いたいただいた企業の皆様、ありがとうございました。
並びに、会場準備と大会運営をしてくださった西濃地区サッカー少年委員会の皆様。ありがとうございました。
そして、応援に駆けつけてくれたレスターの他カテゴリーの選手、保護者の方々、本当にありがとうございました! これからも彼らの成長を見守っていただければ幸いです。今後ともよろしくお願いします。
さて、前回は県大会をスペシャルコースと例えたが。
その上となると、東海大会はデラックスとかだろうか?
まぁ、なんでもいい。
岐阜県のチームが東海で優勝したという結果は私の記憶にない。
東海は強者揃いで、きっと激辛料理のように、辛く、苦しい戦いを強いられるだろう。
それでも、成長してみればそんな料理も美味しく思える。
昔はわさび抜きでないと寿司を食べられなかったものだが、逆に今はわさびがないと食べられないもの。
これからまた成長すれば、東海大会でも楽しくサッカーができるはず。
また優勝しよう!