育成年代のサッカーは、結果がすべてではない。
これはよく言われる言葉だと思う。
確かにその通りだ。
けれど……。
勝ち負けがすべてではないけれど。
でも「勝ちにいくこと」は、すべてでないといけない。
目の前にいる相手に。
課せられた問題に。
立ちはだかった困難に。
勝ちにいかない者には、成功なんてないのだから。
だから我々は、負けてしまった。
私は一生、あの開始一秒の失点を忘れないだろう。
きっと。
紅白戦でも。
練習試合でも。
公式戦でも。
キックオフのたびに、あの失点を思い出す。
それはトラウマのように。
まるで呪いのように。
そして、病のように。
脳裏でフラッシュバックし、私を苦しめる。
そう、けして、忘れてはならないのだ。
あの失点がなければ、という意味ではなく。
盛り返す力を、奮い立たせられなかったことに。
時間はまだ、40分も残っていた。
それでも、一部の選手を除き、大半の選手の闘志が消えてしまった。
走ることをやめてしまった。
戦うことをやめてしまった。
勝ちにいくことを、やめてしまった。
一部の選手が希望を絶やさないでいても。
それでも。
サッカーは、チームスポーツなのだ。
全員がそうでないといけない。
きっと、いつまでも後悔するだろう。
いや、後悔し続けなければいけない。
それができないと、変われないから。
どれだけ最悪なスタートでも、どれだけ危機的状況になっても。
それでも、戦う意思を絶やさないこと。
それは人生を生き抜いていくことにおいて、必要不可欠なことなのだ。
変わらないと、いけない。
それはきっと、私も含めて。
以下、謝辞。
県大会を運営してくださった皆様。
対戦していただいたチームの皆様。
ありがとうございました。
そして、保護者の皆様。
ご期待に沿えず申し訳ございません。
地区大会から、いえ、これまでずっと、ご声援とご協力、ありがとうございました。
6年生はクラブ選手権が。そして中学時代が。
5年生はチビリンピック。そして来年のすべての大会が。
まだまだ先は続く。
でも、でもさ……。
まだまだ先は続くけど。
それでも。
あの瞬間。
笛が鳴ったあの時に。
このチームで、このメンバーで、全国大会に行くチャンスは、一生なくなったんだ。
これから果てしなく続く長い人生の中でも。
このチームで、このメンバーで、全国に行くチャンスは、今しかなかった。
それが、未来永劫失われてしまったんだ。
その瞬間を見た者は。
今大会、試合に出れた者も、出れなかった者も。
敗戦時のあの瞬間を体験できたことは、きっと大きな何かを得るきっかけになり得るはずだ。
心に刻んでほしい。
これからも人生は続く。
でも、そんな人生の中で起きる数々のことは、その時にしか起こらない。
今回、全国大会に行くチャンスという分かりやすい指標があっただけで。
私たちが生きている「今」は笛が鳴ったあの瞬間と同じ。
あれは、毎日のように起きている出来事で。
人生はそんなことの連続なのだ。
だからこそ「今」を全力で生きなければいけない。
戦って、あがいて、もがき苦しんで。
必死に。
でないと、後悔する。
今回のように。
もう一度綴ろう。
心に刻んでほしい。
人生は、その一時は、君たちが生きている今は。
常に。
その「今」しかない。
人生は、一期一会なのだから。