サッカーには二種類の敗戦がある。
すぐに切り替えることができる敗戦と。
すぐに切り替えることができない敗戦だ。
今大会の敗戦は後者である。
好ゲームを演出し、チャンスをたくさん作った。
特に3ピリオドから延長戦にかけては、ベストチームだった。
2ピリオドラストワンプレーという最悪の時間に先制され、よく盛り返したと言えるだろう。
勝つことができていれば、きっとその日は気持ちよく眠れることができた。
三日ほどは幸せな気持ちで過ごせたはずだ。
だが、負けた。
一週間は悶々とした日々を送ることになりそうだ……。
勝てそうだったとか、チャンスがあったとか、いろいろな思いが頭の中で渦巻いて、なかなか頭の中がすっきりしないと思う。
ただ、内容がどうであれ結果は変わらない。
我々は負けてしまったのだ。
チームとして、勝負を決めきれなかったことには必ず理由がある。
新人戦の時には走ることについての重要性を説いた。たった一メートル走らなかったことが失点につながることもある。今回の失点に関してもそうだろう。
そして、たった一メートル余分に走ることで得点に繋がることもある。
あと数センチが届かない、なんてサッカーでは山ほどあるのだから。
もっとハードワークしなければいけない。
そこに関しては、全員同じだけやらなければならない。
個人差などあってはならない。
技術的な部分、足の速さ、体の大きさに差があるのは理解できる。
ただ、戦うという部分においては、全員がやらなければいけない。
我々はチームなのだ。全員が一緒になって、同じだけ戦わなければ、勝利などあり得ない。
攻撃面においても、走る量がまだまだ足らない。走る意思、ボールを受ける意思、チームとしてゴールを奪う意識を持つことが大前提。
そしてその次に、走るコースと目的地を理解しなければいけない。
時には止まることも必要だ。
君たちのフリーランに、目的地はあるのだろうか。
走るだけでは意味がないのだ。
重要なのは、チームとしてゴールを奪うために必要な配置を理解し、その配置を前から埋めていくことである。
「前から」というのが肝だ。
ゴールは必ず自分たちより前にあるのだから。
埋めなければいけないスペースは、きっと状況によって異なるだろう。
前が敵に埋められれば、斜め前、斜め前が埋められれば前が空く。
その両方が埋められてしまったのなら、きっと横が空いているはずだ。
埋めなければいけないポジションとは違うところに走ってしまう。
埋めなければいけないポジションで止まらずに通り過ぎてしまう。
そして一番多いのが、敵が埋めている場所に走ってしまう。
それではボールを受けることができないし、ゴールを奪うことはできないだろう。
重要なのは、自分が走っている意味を作ることなのだ。
例えば、走ることでボールを受けることができる。
あるいは、敵を動かすことができる。
そして、味方のドリブルコースを作ることができる。
さらに、よりゴールに直結する味方へのパスコースを作ることもできる。
足元の技術も大切だが。
それ以上に走りの技術は大切だ。
サッカーなんて自分がボールを触っていられるのは1試合の中でほんの数分なのだから。
自分がそこに走ればどうなるのだろうか。
敵がどう動き、味方が持っているボールをどうゴールまで運ぶことができるのだろうか。
チームはどうすればゴールを奪うことができるのか、一秒ごとに考えて、走ることを実行する。
そして、そのランニングに応じて、適切な判断をボール保持者が下すのだ。
ボール保持者になった時に下す判断の質も改善の余地がある。
ゴールを意識の中から外してしまっている。
敵を抜くためにドリブルするのではない。
パスを百回繋ぐためにパスをするわけじゃない。
前に運ぶのが目的じゃない。
違う。間違っている。
ボールをたくさんゴールという枠に入れるために、我々はボールに触るのだ。
サッカーは、あの枠にたくさんボールを入れたチームが勝つゲームなのだから。
それができなかったから、我々は負けたんだ。
ドリブルをすることでシュートコースができたにもかかわらず、ゴールを見ていない。
パスコースが塞がれたことでシュートコースが空いたのに、またもゴールを見ていない。
走るのも、戦うのも、ボールに触るのも、すべてはボールをゴールに入れるため。
だから、もっとゴールに意識を向けるべきだ。
全部シュートを打て、と言っているわけではない。
根本的な部分の話である。
先ほどのフリーランの質の話と同じだ。
つまり、一つ一つの行動すべてを、ゴールをするためのプレーにしなければいけない、ということだ。
直結していなくてもいい。
間接的に、ゴールに少しでも関わっていれば100点満点だ。
ドリブルも、パスも、ランニングも。
なにもかも。
……さて、書き始めは遅いのに、気づいたら長文を書いてしまっている悪い癖がでてしまった。
以下、謝辞。
今大会を運営していただいた皆様、対戦いただいたチームの皆様、ありがとうございました。
そして、寒い中応援してくださいました保護者の皆様、ありがとうございました。
今回は負けてしまったが。
まだまだこれから。
心に傷を残す敗戦は心に残る勝利で癒すことができる。
だからこそ、切り替えることができない、なんて言っていられない。
足りないものはたくさんある。
ハードワーク、フリーランの質、攻撃時の意識、単純なシュート技術、インサイドキックの質、止める技術などなど。
それらすべてを成長していくだけ。
そのために必要なことをやっていくだけだ。
日々の練習と。
あとは、そうだな……。
私の日頃行いだろうか。
運を味方につけておくために、もっと徳を積んでおくとしよう。